レガシーPBX / IP-PBX / クラウド型PBX の違い

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オフィスでの様々な電話業務に不可欠な、内線での通話や外線(公衆電話網)からの発着信制御を行う装置、PBX(構内交換機)。PBXには、大きく分けて「レガシーPBX」「IP-PBX」「クラウド型PBX」の3種類があります。

目次

レガシーPBXとは

レガシーPBXとは、電話線を用いて電話と電話を接続するPBXのこと。電気信号を電話線に通して通信を行うという昔ながらの方式を用いているため、レガシー(従来の)PBXと呼ばれています。

レガシーPBXの特徴

歴史が長い

日本での電話交換機の利用の歴史は、手動交換機が導入された1890年にさかのぼります。100年以上の年月を経て、さまざまな意見が集められるとともに改良が重ねられ、番号ごとにコール音を変えるなどさまざまな機能が付け加えられています。レガシーPBXは、オフィスにPBXの主装置を設置して利用する形態です。

導入・管理コストが大きい

電話、PBX、パソコンなどを通信回線に接続する工事には、「工事担任者」資格を持つ者による工事の実施、または監督が必要と電気通信事業法で定められています。そのため、導入やオフィスレイアウト変更のたびに専門業者に依頼する必要があり、「IP-PBX」「クラウド型PBX」と比べコストは割高です。

レガシーPBXは電話線が届く範囲でしか内線をつなげられないため、拠点ごとに主装置を設置しています。維持管理と、設定変更時に発生する主装置の操作を業者に依頼することでコストがかかります。

IP-PBXとは

IP-PBXとは、ネットワーク上または公衆電話網の電話をIP電話へ振り分けるPBXのこと。2000年代初頭にIPネットワークを用いた「IP電話」が登場し、それに対応してPBXにもIPネットワークが導入され、広く浸透していきました。

IP-PBXの特徴

導入や管理、運用の負担が少ない

IPネットワークを用いるIP-PBXは、インターネットが導入されている企業であれば、社内LANに接続するだけで内線電話網が構築できます。つまり、電話線の配線が不要なため、工事の手間がかかりません。遠隔地や海外と電話網を構築する際も、IPネットワークがつながってさえいれば工事をせずに済み、負担を軽減できます。

また、社内のレイアウト変更の際も、LANケーブルを入れ替えるだけで利用再開でき、内線番号の再設定は不要。そのほかの設定変更もパソコンを使って自身で行えます。

配線工事や、設定変更で業者を呼ぶ必要がないため、導入にかかる費用を抑えることができます。さらに、全国どこにでもIPネットワークを経由して接続できるため、たとえ遠隔地に電話をかけても追加料金はかからず、全国一律の料金で利用可能です。

パソコンと連動することで、機能を拡張できる

IP-PBXは、パソコンと連動することで機能を拡張したり、CRMなどと連携させることができます。
その活用例として、以下のようなものが挙げられます。

録音機能と連動して顧客との会話を記録し、重要事項や聞き逃したことを確認する
CRMと連動し、パソコンに顧客情報を表示する
手が空いている社員を自動的に判断して着信を割り振る

このような電話とパソコンの統合を、CTI(Computer Telephony Integration)といいます。

ものによっては、オプションなしで多彩な機能を備えている製品もあります。
導入ユーザーから評価の高い製品を、「機能が充実しているIP-PBXランキング」にまとめているので、導入を検討されている方は是非一度ご確認ください。

スマートフォンと内線電話をつなげる

IP-PBXは、アプリケーションのインストールまたはFMCサービスの利用によってスマートフォンを内線化し、会社の電話番号で発着信できるようになります。外出先でも会社の電話番号で顧客とやりとりできるのは、営業職など外回りが多い方にとって大きなメリットです。

IP-PBXの種類

IP-PBXは、ハードウェアタイプ(交換機ベース)とソフトウェアタイプ(サーバベース)の2種類に分けられます。

ハードウェアタイプ(交換機ベース)のIP-PBXとは

電話交換用の専用機器を利用するタイプのPBX。電話交換機能だけでなく、スイッチやルータ機能も付属していることが多いようです。PBXを利用する企業の管理下にハードウェアを設置するため、セキュリティの高さや稼働の安定性が期待できることがメリットです。

ソフトウェアタイプ(サーバベース)のIP-PBXとは

既存の機器に専用ソフトをインストールして接続するタイプのPBX。こちらのPBXをサーバにインストールしたものを専用機器としてカスタマイズして販売している業者もあります。ソフトウェアタイプ(サーバベース)のIP-PBXのメリットは、以下のような点です。

導入費用、ランニングコストともハードウェアタイプより安い
ソフトウェアをインストールするだけなので導入が簡単
拡張性が高く、機能追加や外部システムとの連携がしやすい

クラウド型PBXとは

Web上のクラウドから電話交換機能をサービスとして借りるタイプのPBX。サーバが提供するサービスを、IPネットワーク経由でパソコンやスマートフォン上で利用します。そのため、物理的なPBXの接続機器は存在せず、ソフトウェアをインストールする必要もありません。

まとめ

「レガシーPBX」「IP-PBX」「クラウド型PBX」の違いをまとめました。
従来の公衆電話網から内線に振り分けするのがレガシーPBX、IPネットワークを用いて接続するのがIP-PBX、クラウドのサービスを用いて接続するのがクラウド型PBXです。

レガシーPBXは電話線の工事とハードウェアの管理が不可欠ですが、IP-PBX、クラウド型PBXでは電話線の工事が必要なく、ハードウェアの管理も必須ではない点が、最も大きな違いでしょう。
PBX導入の際は、どの形態がオフィスに最適か検討する必要があります。

カテゴリ:IP-PBXの基礎

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