導入検討時に最低限おさえておきたい用語まとめ

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IP-PBXを導入する上で最低限知っておきたい用語をまとめました。導入検討時にぜひお役立てください。

目次

最低限おさえておきたい用語集一覧

~PBXの種類~

レガシーPBX

電話線を用いて電話と電話を接続するPBX(Private Branch eXchange、構内交換機)のことです。電気信号を電話線に通して通信を行っており、レガシー(従来の)PBXと呼ばれています。電話機の設置箇所を変更する際には「工事担任者」資格を持つ者による作業が必要なため、保守管理コストは割高になります。また、レガシーPBXは電話線が届く範囲でしか内線をつなげられないので、拠点ごとに主装置を設置する必要があります。

IP-PBX

IP-PBXとは、インターネット回線(IPネットワーク)上でIP電話機への着信などを制御するPBXです。インターネットが導入されている企業であれば、社内LANに接続するだけで内線電話網を構築できます。社内のレイアウト変更の際も、LANケーブルを入れ替えるだけで継続して利用できます。全国どこにでもIPネットワークを経由して接続できるため、従来のPBXのように拠点ごとに主装置を置く必要はなく、IPネットワークで拠点間をつなぐことができます。ソフトウェア型、ハードウェア型があります。

クラウド型PBX

Web上のクラウドから、電話交換機能をサービスとして借りるタイプのPBXです。サーバが提供するサービスを、IPネットワークを経由してパソコンやスマートフォン上で利用します。そのため、物理的なPBXの接続機器は存在せず、ソフトウェアをインストールする必要もありません。

~回線に関する用語~

PSTN

Public Switched Telephone Networksの略で、公衆電話網のことです。公衆電話網は、地域ごとに設置されている電話交換機を相互接続する形で機能します。なお、交換機の接続には一回ごとに料金が掛かるため、電話先までの距離が離れるにしたがって電話料金が上がります。

ADSL

電話線の音声通話に使われない帯域を利用し、高速のデータ通信を行う技術です。ユーザ側から見てデータを受信するときは通信速度が速くなり、送信するときは遅くなる特徴があります。既存の電話回線を利用してインターネットが利用できるため、かつては広く利用されました。光回線や高速モバイル通信などの普及により、2016年6月30日にNTTが新規申し込み受付を終了するなど、今後は廃止されていく傾向にあります。

ISDN

Integrated Services Digital Networkの略で、「サービス総合デジタル網」と呼ばれます。その名の通り、電話もFAXもインターネットもすべてデジタル回線として扱います。日本では「INSネット(NTT)」という名前で展開されています。2回線同時に使用できるので、例えば通話とインターネットを一度に利用することが可能になります。

IP電話網

IPネットワーク(インターネット)を使った電話サービスをいいます。また、IP-PBXと直接接続できるIPネットワーク対応の電話機をIP電話機と呼びます。インターネット回線を使うことにより、比較的低コストでの通話が可能です。IP電話は、IP対応の電話機のほか、コードレス電話機、スマートフォン、PCソフトフォンなどで利用できます。

VoIPゲートウェイ

VoIPゲートウェイは、電話線からの音声データをデジタルデータに、IPネットワークからのデジタルデータを音声データに変換し、電話線とIPネットワークの仲立ちを行います。アナログ電話機をVoIPゲートウェイに接続することで、レガシーPBXのままIPネットワークに接続することが可能です。従来は拠点ごとにPBXを設置する必要がありましたが、VoIPゲートウェイを導入したIPネットワークを使用することで拠点ごとに設置する必要がなくなり、大幅なコスト削減を実現できます。

内線

事業所内の同じ主装置に接続されている電話同士のつながりが内線です。対して、電話サービスの回線を利用して外部と通話する場合は外線通話となります。内線電話は事務所内の設備であるため、通話料は発生しません。社員数や拠点の多い企業にとっては、通話料のかからない内線通話をいかに利用するかが、社内の通信コスト削減のカギになります。

~ネットワークに関する用語~

IPアドレス

パソコンやネットワーク機器などに割り当てる識別番号のこと。ネットワーク上では機器間の通信に「IP」というプロトコル(通信規約)が用いられており、IPアドレスはこのプロトコルで運用される端末ごとの住所にあたる情報です。インターネット上ではIPアドレスが重複しないようにするため、この管理は各国のNICという組織が行っています。

DHCP

Dynamic Host Configuration Protocolの略。このプロトコルによって、ネットワークに接続するコンピュータに、IPアドレスなどの情報が自動で割り当てられます。ユーザが何も設定しなくても自動で割り当てるので、インターネットへの接続が比較的容易です。接続するたびに異なるIPアドレスが割り当てられることがあり、これを動的IPアドレスと呼びます。

SIP

Session Initiation Protocolの略。IPネットワーク上で音声通話を利用する際、発着信や応答などの通話制御(呼制御)を行うプロトコルの一つです。IPネットワーク上の通話では、音声データが別のプロトコルによりデジタル化され、細かいパケットに分けられて送信されます。音声データの送信と電話の発着信を実現するために、SIPによる呼制御が必要になります。

~PBXに関わるソフトウェア、システム~

CTI

Computer Telephony Integrationの略。パソコンと電話を統合させることを言います。例えば、顧客から電話がかかってきた際に、CRM(以下参照)と連携してパソコン上に顧客情報を表示する機能などがあります。また顧客との会話を記録するなど録音機能と連動すると、電話業務のサービス品質向上などに役立てることができます。

CRM

Customer Relationship Managementの略で、顧客関係管理と訳されます。年齢・性別などの個人情報から、顧客からの問い合わせやクレーム対応まで、個々の顧客とのすべての接点をデータ化し、分析したものです。これを用いることで顧客を囲い込み、収益率の最大化を図ることができます。IP-PBXでは、パソコン上でCRMと連携させることで、顧客情報を参照しながら電話を掛けることが可能になります。

IVR

Interactive Voice Responseの略。自動音声応答と訳され、電話を受けた際の窓口の案内などを、電話の受け手によらず自動で再生する機能です。IVRの例には、携帯電話会社に問い合わせた際、希望のサービスごとに番号入力を求める案内などが流れる音声などがあります。またキャンペーンの情報を提供するときにも、IVRを使えば低コストでたくさんの顧客に発信できます。

Asterisk

アメリカのデジウム社が開発しているオープンソースのIP-PBXのソフトウェア。オープンソースであるため、メーカーのPBXよりも安価にシステム構築ができます。またIVRやCRM、CTIなど外部システムとの連携が可能になっています。使い勝手が良い一方、日本で発達した電話機のボタンに番号を割り付ける機能などは充実していないことがあります。

ソフトフォン

IP電話で利用できる通話方法の一種です。パソコンやスマートフォンにソフトウェアをインストールし、電話機を使わずに通話できます。ソフトフォンは、ソフトウェアを使って音声をデータに変え、インターネット経由で通信することで通話を実現します。イヤホンとマイクを使った利用が一般的です。SkypeやLINEなども、ソフトフォンに含まれます。

まとめ

以上、IP-PBX導入時に最低限おさえておきたい用語をまとめてみました。本サイトでも頻出する用語ばかりなので、ここで押さえておきましょう。

カテゴリ:IP-PBXの基礎

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