0ABJ型IP電話と050型IP電話の違い

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IP電話に割り当てることができる電話番号の形式は、0ABJ型と050型に分けられます。

本記事では、0ABJ型IP電話と050型IP電話の違いを紹介します。

目次

0ABJ型IP電話とは

0ABJ番号について

0ABJ番号とは、「03」「06」などで始まる、一般の加入電話に割り当てられる電話番号の形式です。「0A – BCDE – FGHJ」のように0とそれに続く9桁の数字で構成されています。アルファベットは、0から9までの数字を表しています。ただし、I(エル)は数字の1と紛らわしいため除外されました。0ABJという名称は、この0からJまでの並びを省略したものです。

0ABJ番号の並びは、ハイフンごとに「市外局番 – 市内局番 – 加入者番号」という情報を表します。つまり、電話が設置されているエリアを基に番号が決められているため、0ABJ番号から電話先の拠点がどの地域なのか判別できます。

そのため、スマートフォンや携帯電話など地域が固定できない通信端末では、従来0ABJ番号は使えませんでした。しかし近年は、IP-PBXやFMCサービスと組み合わせることで、スマートフォンや携帯電話でも、0ABJ番号での通話が可能になっています。

0ABJ型IP電話とは

0ABJ型IP電話は、0ABJ番号が割り当てられたIP電話です。IP電話とは、通話の伝送の一部または全部でIPネットワークを利用している電話サービスを指します。

元々0ABJ番号をIP電話で使えるのは総務大臣が必要と認める場合に限定されており、ほとんど用いられることはありませんでした。しかし、IP電話の普及と品質向上に伴い、総務省の定める基準を満たせば取得できるようになりました。

品質の条項は細かく規定されており、基本的にはアナログ電話相当の通話品質や機能を実現することが求められます。通話品質は「接続品質」「総合品質」「安定品質」「ネットワーク品質」の4項目で規定されています。

それぞれの項目は、以下の表のとおりに説明されます。

接続品質 全ての音声伝送役務について、発信音遅延、呼損率、接続遅延に係る技術基準を規定。
総合品質 端末間(End-to-End)での遅延を規定。
安定品質 0ABJ型IP電話については、ふくそう(※1)等に伴う役務の提供の停止や制限がアナログ電話と同等でなければならないとして、安定品質の確保に必要な措置を講じることを規定。
ネットワーク品質 UNI-UNI(※2)もしくは、UNI-NNI(※3)間での遅延、揺らぎ、パケット損失率を規定。
  • ※1 ふくそう:災害などで通話が過度に集中することにより通信回線が大変混雑し、電話がつながりにくい状態。
  • ※2 UNI : User – Network Interfaceの略。事業用電気通信設備と当該設備に接続する端末設備等との間の分界点。
  • ※3 NNI : Network – Network Interfaceの略。相互接続を行っている事業用電気通信設備相互間の分界点。

参考:総務省「IP網への移行後の技術基準の在り方について」(2017年1月)

これらの品質基準は、従来の固定電話回線からIPネットワークへの移行に伴って、徐々に緩和されてきています。このほかに、機能における条件として、「緊急通報や災害時の優先通信ができること」「ファクシミリが使えること」などが定められています。

050型IP電話とは

050番号について

050番号は、IP電話に割り当てられる電話番号の形式です。「050 – ABCD – EFGH」のように11桁の番号で構成されており、ハイフンごとに「IP回線 – 事業者の識別番号 – 加入者番号」という情報を示しています。電話番号を見ると通信機能を提供する電話事業者を判別することができます。

050番号には、市外局番などの地域情報が含まれていません。そのため、0ABJ番号とは違い、FMCサービスなどと組み合わせなくても、スマートフォンや携帯電話などの通信端末で用いることができます。

050型IP電話とは

050型IP電話は、050番号が電話番号として割り当てられたIP電話です。0ABJ番号が割り当てられないIP電話用の電話番号として導入されました。

050型IP電話にも、一定の通信品質や機能の基準は定められています。ただし、「安定品質」「ネットワーク品質」の規定が無かったり、緊急通報や災害時優先通信が不可欠ではなかったりと、0ABJ型IP電話ほど厳しくはありません。

0ABJ型IP電話と050型IP電話の違い

通話品質の差

総務省はIP電話の通話品質について3つにクラス分けしており、最も品質が高く遅延の少ない「固定電話並み」の品質をクラスA、次いで「携帯電話並み」の品質をクラスB、それを下回る品質をクラスCとしています。050番号はクラスC以上で取得できますが、0ABJ番号はクラスAの品質でなければ取得できません。つまり、0ABJ番号を利用可能な電話システムであれば、通話品質の不安を感じずに運用することができます。

直収型のIP電話や光回線の普及により、0ABJ番号の要件を満たすことの出来るIP電話は増えています。それに伴い、0ABJ型IP電話の加入者数は増加傾向に、050型IP電話の加入者数は減少傾向にあります。

事業者の乗り換えやすさ

050番号には事業者(プロバイダなど)の識別番号が含まれているため、IP電話同士であっても、別の事業者のサービスに加入した場合はそのまま電話番号を使い続けることができません。そのため、050型IP電話は0ABJ型IP電話よりも乗り換えの際不便な場合があります。

一方0ABJ番号には市外局番や市内局番が含まれているため、スマートフォンや携帯電話で使えないというデメリットがありました。しかし、そのデメリットはIP-PBXやFMCサービスの普及により、解消されつつあります。

社会的信頼性

一般に0ABJ型IP電話の方が050型IP電話よりも社会的信頼性が高いといわれています。前述のとおり、0ABJ型IP電話は、050型IP電話よりも高い通話品質の基準が課されています。さらに、電話の場所が固定されているので、圏外になる心配がありません。そのため、銀行口座の開設などでも0ABJ型電話番号は問題なく使用可能です。

まとめ

0ABJ型IP電話と050型IP電話について説明しました。通話品質の高さや社会的信頼性など、ビジネスにおける使いやすさに関わる違いもいくつか見られます。
IP電話を検討する際には、番号の形式にも気を配ってみると良いでしょう。

カテゴリ:IP-PBXの基礎

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