PBX導入後の失敗事例

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PBX導入の際に重視する項目は、コスト削減、機能性、ベンダーの実績など、ユーザにより異なります。その中の一要素だけにとらわれると、ほかの欠点やオフィスに必要な機能を見落としてしまうかもしれません。ここでは7つのPBX導入後の失敗事例を紹介します。

目次

失敗事例①「増員を考慮していなかった」

オフィス新設に伴い、安価なPBXシステムの導入を検討していました。検討していた複数社のうち、A社のキャンペーンでは初期導入費用を一番安く抑えられそうだったので、迷わずこちらに決定しました。1年後には社員数が増え、電話機の増設を業者に依頼。しかし、業者には「現在使用中の電話機では増設に対応できない」と言われ、結局電話機を総入れ替えするはめになってしまいました。今では安易にキャンペーンに乗ってしまったことを後悔しています。

アドバイス

コストの低さを重視すると、拡張性に目が向かなくなってしまいがちです。ビジネスフォンの耐用年数は6年となっており、費用・煩雑さの観点からも、その間はリプレイスせずに済む計画を立てましょう。社員が増える可能性があれば、柔軟に電話機や機能を追加できる拡張性を備えたIP-PBXが最適です。

失敗事例②「不具合の対策に不満がある」

固定電話機からIP-PBXへの切り替えを検討しており、B社のIP-PBXシステムをトライアルで利用しました。お試しでは問題なさそうだったので継続を決めましたが、システムに不具合が出たときの業者の復旧対応が遅く、困っています。社内では不満の声が挙がっており、お客様から「対応が遅い」とクレームをいただいたこともありました。早急に解決しなければいけない状態です。

アドバイス

この場合、まず予備の回線を用意する措置を取ることで、オフィス電話の不通を避けられます。また、IP-PBXではWebからの管理が可能な製品があり、リアルタイムで不具合に対応してくれるメーカーもあります。リスク回避の方法を用意するだけでなく、保守サービスが充実した業者を選ぶことも重要です。導入前に複数社の保守サービスを比較検討しましょう。

失敗事例③「リース契約の欠点を考えなかった」

事業立ち上げに際して、初期投資が少なく済むことに魅力を感じC社のPBXをリース導入しました。最初は管理の手間が省けて楽だなと思っていたのですが、手数料や保険料を含めると月々の支払額の合計が割高になり、解約の旨を申し出ました。しかし、業者いわく「リース期間中に解約すると違約金が発生する」とのこと。仕方なく契約年数が切れるまで払い続けました。

アドバイス

リース契約では、製品を自社で購入しないために初期費用が少なく済む、製品がリース会社の資産であるため減価償却等の計上が必要ないといったメリットがあります。その反面、基本的に中途解約ができないというデメリットがあり、リース会社を介するため、費用の総額は購入よりも割高になってしまいます。リース契約を結ぶ際は、メリット・デメリットの両方を照らし合わせて選択する必要があるでしょう。

失敗事例④「必要機能の検討が不十分だった」

電話設備が老朽化してきたため、設備更新を考えていました。当社の社員数は10人と比較的小規模であり、設備投資費を最小限に抑える必要があったため、イニシャルコスト・ランニングコストともに安価なD社のプランを選びました。経費は削減できる見込みですが、基本プランに外線転送機能が含まれておらず、外回りをする社員が多いなか、取引先からの電話を取れないことが課題となっています。有料オプションの追加は検討中で、しばらくは不便な状態です。

アドバイス

固定電話を使う人数や、働き方に合わせた機能の取捨選択が不十分だと、導入後に再検討事項が発生してしまいます。人員の少ないオフィスでは、外線転送機能・IVR(自動音声応答)の導入や、スマートフォン内線化に対応するIP-PBXを選ぶことで、業務の効率化が期待できます。小規模オフィスの電話システム導入のコストは、大規模の場合と比べると、ベンダーや利用プランの選択で削減できる割合は小さくなります。機能面で候補を絞り、見積もりを依頼しましょう。

失敗事例⑤「依頼業者の経験不足だった」

社内ネットワークの利用で拠点間の通話コストを大幅に下げられると聞き、E社のPBX導入を決定しました。当社の営業所・事業所は日本全国に存在します。多数の拠点間で発生する通信コストを節約できるのは大きなメリットです。しかし、導入時に各地方の業者と事業所ごとに設置の交渉を行わなければならず、非常に手間でした。想定外のタイムロスが発生し、E社に依頼したことを後悔しています。

アドバイス

この場合、E社のノウハウ不足が原因と考えられます。多くの拠点を結ぶネットワークを構築する場合、大規模向けのPBX製品を選ぶことに加えて、大手企業などの導入実績や製品の開発を行っているかどうかも参考になります。電話システムの規模が大きい場合には、導入に掛かる期間も、検討段階で問い合わせておくと良いでしょう。

失敗事例⑥「中古品の安さが裏目に出た」

電話業務があまり多くなく、電話システム刷新の経費を抑えるために、中古のPBXを購入しました。初期費用は安く、電話機も普段の業務での利用に差支えないと考えていましたが、ほどなくして転送や内線通話に不具合が発生しました。電話を完全に止めてしまうわけにはいかず、修理を試みましたが保守期間が切れており、製造が終了している部品があったため、諦めて新たな電話システムを探しています。かえって高くついてしまいました。

アドバイス

中古の魅力は安く購入できることですが、表裏一体で故障や保守切れのリスクが高いという欠点があります。製造終了になった製品では修理ができないことがあるため、不安の残る運用になってしまいます。IP-PBXは従来のPBXに比べ導入費用は低くなっていますので、中古品を購入した場合の差額を見積もると良いでしょう。ソフトウェア型のIP-PBXはアップデートで機能を最新の状態に保つことができ、保守切れの心配はありません。

失敗事例⑦「会社の変化にレガシーPBXが対応できない」

会社の成長と共に変化が大きい時期に差し掛かり、支店の展開や部署の統廃合などが相次いでいます。そのような中電話システムを大幅に変更することに抵抗を感じ、当社でこれまで使っているものと同じ型のレガシー(従来の)PBXとビジネスフォンを導入しました。ですが、席替えや部署異動、新規オフィスの開設を行うたびに、設定変更や配線を業者に依頼しなければならず、高額な作業費がほかの設備や人材への投資を妨げています。また、即時対応が難しく、整備を待って結果的に1カ月プロジェクトの開始を遅らせたことがありました。

アドバイス

レガシーPBXは今までの稼働実績や安定性がありますが、柔軟に設定や電話の数を変えたり、機能を追加したりはできないため、拡張性が乏しく環境変化への対応力は評価できません。会社の成長が続く時期には、特に拡張性に優れ柔軟に電話台数を追加できるIP-PBXが向いています。小規模から大規模まで対応する製品を選べば、1拠点で小規模・低コストでIP-PBXを導入し、会社の展開に合わせて電話を増設することができます。設定変更などは自分たちで行えるため、迅速な業務改善も可能です。

まとめ

PBXのリプレイスは、企業にとって業務改善につながる大きな決断になります。規模や働き方、コストなど、オフィスで優先すべき課題を洗い出して検討を行いましょう。IP-PBX導入の際に検討したいポイントは「IP-PBX選定時にチェックしておくべき7つのこと」で紹介しています。

カテゴリ:お役立ち情報

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