オンプレミスとクラウド、それぞれの違いは?

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情報システムの形態には、大きくオンプレミス型とクラウド型があります。
本記事では、オンプレミスとクラウドの概要やメリット・デメリットについて紹介します。

目次

オンプレミスとクラウドの概要

オンプレミスとは

オンプレミス(on premises)とは、サーバやネットワーク機器などを自社に設置し、情報システムを運用する形態のことです。この名称は従来なかったもので、クラウドコンピューティングの浸透に伴い「オンプレミス」と後づけで呼ばれるようになり、形態を区別する呼び方として広まっています。

クラウドとは

クラウド(cloud)とは、インターネット上で運用されるデータセンターや不特定多数のサーバのことです。インターネットを介してこれらを利用できるサービスを提供する方式をクラウドコンピューティング(cloud computing)といい、略称である「クラウド」が一般的に用いられています。

オンプレミスとクラウドのメリット・デメリット

自社で運用を行うオンプレミスは、自由度の高いカスタマイズが可能で、セキュリティ面でも優れています。一方、クラウドは初期費用が安く、導入までの期間が短いというメリットがあります。

そこで7つの項目ごとに、メリット・デメリットについて詳しく説明します。

初期費用

オンプレミスではサーバやネットワーク機器、ソフトウェアライセンスの購入など、導入にかかるコストは高額です。

一方、クラウドは機器の設置や情報システムの構築が不要であるため、初期費用がかからないケースが多くあります。また、導入コストが発生する場合でも、オンプレミスと比べて低コストで導入することができます。

ランニングコスト

オンプレミスの運用では、通信費や保守管理のための人件費と、不定期でソフトウェアのバージョンアップや障害対応のコストが発生します。月ごとの利用料はかからないので、最適なサーバの選定や長期間の利用で、ランニングコストを抑える工夫ができます。

クラウドでは月額費用が発生します。価格はベンダーや利用プランによって様々で、1ユーザあたりの相場は数百円から数千円ほどとばらつきがあります。1ユーザごとに月額費用が発生するので、企業の規模によってランニングコストが高額になることもあります。

セキュリティ

オンプレミスは閉じられた社内ネットワーク環境下で運用するため、外部から侵入されるリスクが少ないのが特徴です。

クラウドは、インターネットを経由してデータの送受信を行うため、セキュリティ面ではオンプレミスに劣ります。しかし、セキュリティサービスの利用や信頼できるベンダーから導入することでリスクを軽減することができます。

導入スピード

オンプレミスは、機器の選定・調達から情報システムの構築まで行わなければならないので、運用を開始するまでに数ヶ月かかることもあります。

一方、クラウドの場合、即日で導入できることもあります。サービスの申し込みとアカウントを作成するだけで導入できるため、オンプレミスと比べてスピーディな導入が可能です。

カスタマイズ

オンプレミスは自社内で設備を揃えるため、社内の要望に合わせて自由にシステムをカスタマイズできるというメリットがあります。同一の社内ネットワーク上であれば、社内システム同士の連携・統合も容易です。

クラウドでもカスタマイズは可能ですが、オプションで機能やサービスを利用する場合、追加費用がかかります。また、カスタマイズできる内容は事業者が提供可能なサービスに限られます。

ライセンスの利用

オンプレミスでは、ライセンスを購入すれば商用ソフトやミドルウェアを自由に利用することができます。

クラウドの場合は、ライセンスをクラウド上に持ち込めるケースとオプションを追加しなければならないケースがあります。後者の場合、バージョンアップなどのコストがかからないというメリットがありますが、オプション料金が発生する上に利用できるミドルウェアの選択肢が限られます。

通信状態

オンプレミスは自社のローカル回線を利用しているので、社内にいればオフライン環境下でもファイルサーバなどのシステムを利用することができます。

一方、クラウドは、オンラインでなければ利用することができません。さらに、ネットワークを介してサーバにアクセスするためオンプレミスと比べて通信速度が劣ります。しかし、オンラインであれば社外からでも利用できます。

メリット・デメリットの比較一覧
オンプレミス クラウド
メリット
外部からの侵入リスクが少ない
システムを自由にカスタマイズできる
クラウドに比べて通信速度が速い
初期費用が不要または低額
スピーディな導入が可能
オンラインであればどこでもシステムを利用できる
デメリット
初期費用が高額
導入までに時間がかかる
オンライン上でしか利用できない
外部からの侵入リスクがある
運用にコストがかかる
自由にカスタマイズできない
ライセンス利用が複雑
オンプレミスに比べ通信速度が遅い

オンプレミス型PBXとクラウド型PBX

電話システムのPBX(構内交換機)を、自社内に設置して運用する形式をオンプレミス型PBXといいます。オンプレミスの場合、従来の電話線を利用する方法と、IPネットワークを利用しソフトウェアかハードウェアのPBXを導入する方法とに分かれます。

内線網を自社のネットワーク内で構築するため、外部からの不正アクセスのリスクが少ないことがオンプレミス型PBXの特徴です。また、通話品質はクラウド型より安定しています。通信費のみで利用できるためランニングコストを抑えることができますが、設備投資が必要なため導入コストがかかります。

クラウド型PBXは、Web上のクラウドから電話交換機能をサービスとして借りるタイプのPBXです。インターネット経由で提供される電話システムのサービスを、社内の電話やスマートフォンなどで利用します。そのため、物理的なPBXの接続機器は存在せず、自社内で用意する設備は電話機などに限られます。初期費用を抑えて導入できることや管理を任せられることがメリットですが、利用し続ける限り通信費に加え月額費用がかかるというデメリットもあります。

まとめ

オンプレミスとクラウドは、それぞれのメリット・デメリットが表裏一体になったような性質を持っています。
それぞれの特徴を理解した上で、企業の実情に合った選択をしましょう。

カテゴリ:お役立ち情報

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