新人社内SEが知っておくべき7つのインフラ事情

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ここでは、新人社内SE(システムエンジニア)や、シスアド(システムアドミニストレーター)が取り扱う機器の概要と導入・リプレイスのポイントを紹介します。社内インフラの整備に欠かせない基本事項を押さえておきましょう。

目次

ビジネスフォン

ビジネスフォンはオフィスでの利用を想定し、内線通話や保留・転送などの機能を備えた電話システムです。

ビジネスフォンで重要なのが、内線・外線の発着信制御を行うPBX(構内交換機)です。複数の回線を利用した通話や保留・転送はPBXが担っており、オフィスでは必須といえるシステムであることから、PBXの導入と運用は、社内のインフラ管理において避けて通れません。

ネットワークの統一が可能に

従来のPBXは電話線を使用していましたが、現在はIPネットワーク上で稼働するIP-PBXやIP電話機が多く販売されています。IPネットワークの構築により、社内の複数の拠点を1つのPBXで一元的に管理できるほか、製品によってはWeb上で管理画面にアクセスできるため、設定変更やトラブル発生時などの際、社内で迅速に対応できるようになります。

電話とパソコンのネットワークを統一することにより、電話の配線を減らすことができます。そのためオフィスの机周りにありがちな、配線が幾重にも絡まってトラブル時にほどけず困って解決できない、などのストレスを軽減できます。

入れ替え時のポイント

導入の際はパソコン等で使用する分を考慮し、回線の容量を決定します。また、ビジネスフォンの台数は一般的にデスクの数+会議室の数が適切とされており、同時通話数の目安は従業員数の1/3程度です。

なお、電話機の法定耐用年数は6年と定められています。法定耐用年数を過ぎるとすぐに使えなくなるわけではありませんが、メーカーのサポート期間が終了してしまうと修理や交換が難しくなります。パソコンにイヤホンなどをつないで電話として使用できるソフトフォンなども活用し、無理なく電話システムや電話機の利用を続けられるようにしましょう。

パソコン

デスクトップ型はノート型と比べて高性能なCPUを搭載し、グラフィック性能にも優れています。パーツ交換もしやすく、拡張性が高い点もメリットです。また、同じ性能を持つパソコンであれば、ノート型よりも安価に購入でき、コストパフォーマンスに優れています。

ノート型は小型で場所を取らず、持ち運びしやすい点がメリットです。バッテリー搭載でコンセントがなくても稼働するため、外部への訪問や出張が多い企業には必須といえるでしょう。ただし、デスクトップ型に比べて画面は小さく、CPU性能が劣る場合もあります。最近では同じく小型で携帯性に優れたタブレット型端末の利用も拡大しています。

会社の番号を付与して管理を

タブレット型端末など、持ち運びしやすい端末を用いている場合や、会社で所有するパソコンの台数が多い場合、セキュリティや不具合の状況を正確に把握することが重要です。配置やメールアドレスに頼らず会社独自の番号を付けて管理しましょう。購入時期や部署を表す数字やアルファベットを決めるなど、会社の特徴に合わせて整理すると、導入時・リプレイス時に照合しやすくなります。

また、社員1人がデスクトップ型とノート型のパソコンを併用することも珍しくありません。人数と業務内容を考慮した上で台数を決めましょう。リプレイスの目安は4~5年程度です。

サーバ

サーバには自社でサーバを構築する「自社サーバ」のほか、事業者からサーバを借りる「レンタルサーバ」があります。

自社サーバは容量を気にすることなく、環境設定の自由度も高い点がメリットです。ただし、サーバの管理や運用を担う専門家が必要なため、人件費も含めるとレンタルサーバよりコストが高くなる場合もあります。リプレイスのタイミングは機器の耐用年数にもよりますが、目安は5年程度です。

レンタルサーバは利用するサービスにより、自由度やコストが異なります。レンタルサーバでは、契約後すぐに利用できるのでスピーディーな導入が可能です。1台のサーバの機能を複数のユーザで使用するため、ほかの利用者が情報量の多い処理を行っていたりすると、サーバの反応が遅くなったり、つながらなくなったりする可能性があります。

レンタルであっても専用サーバでは、1台のサーバを1社で利用するため、機能性や運用の快適さは高くなります。その分管理に要する費用も高くなります。仮想専用サーバ(VPS)はこれらの中間で、1台のサーバを複数のユーザが利用しますが、仮想的に専用サーバのような状態にしているものです。

自社での運用には専門知識が必要

サーバの運用を行うには、OSやセキュリティなどの専門知識が必要です。社内に専門の部署があったり、専門知識を持つ人が運用を担当できる場合は、自由度の高い自社サーバの運用が可能です。逆に、社内SEが少なかったり、他の業務を兼任している場合などは、保守管理を任せられるレンタルサーバの方が適しています。レンタルサーバを選ぶ際は、セキュリティ対策をしっかり行っている事業者を見極めるのが大切です。

精密機器の使用環境に注意

システムを安定して運用するためには温度や湿度への配慮が不可欠です。

サーバやパソコンといった精密機器は熱に弱く、稼働する室温は20~30℃程度がベストとされています。長時間使用すると熱暴走を起こしてダウンする可能性があります。発熱トラブルを防ぐために、サーバ室では局所的に過熱しないような配置で空調を稼働させる、オフィスでは排気口周辺に物を置かない、ほこりが付かないようにするなど、熱のこもらない状態を保つことが望ましいです。

また、湿度が高い環境はパソコン部品の腐食を招くのでなるべく避けましょう。急激な温度変化にさらされると、結露を起こしてショートしてしまう可能性もあります。一般に湿度は20~80%の間であれば問題ないとされていますが、結露が起きるような環境は避け、除湿機などで調節しましょう。

モデム/ルータ

モデムとは、アナログ信号とデジタル信号を相互に変換する機械です。アナログ信号を使用するインターネット回線と、デジタル信号を使用するパソコンを中継する役割を持ちます。ADSLなどを利用してパソコンをインターネット回線に接続するために欠かせない機器の1つです。

ルータはコンピュータの住所といえるIPアドレスを元に、パケットの転送先を割り振る機能を持ちます。1つのインターネット回線を複数のパソコンで共有する際に使用します。なお、ルータ機能を搭載したモデムもあります。ルータの法定耐用年数は10年と定められています。

スイッチングハブ

スイッチングハブは、受信データを蓄積し、情報の種類を判断して特定の機器に送信する振り分け機能があります。LANを分岐させる役割を持ち、ルータの機能を補完します。ルータとスイッチングハブを併用すれば、ネットワークに接続できる機器の数を増やすことができます。リプレイスの目安は10年程度です。

社内ネットワークを構築する際の注意点

社内ネットワークを構築する際に留意したいのが、セキュリティ対策です。特に無線LANは電波を悪用・盗聴される恐れがあるため、通信の暗号化などの対策が必須です。万が一社内ネットワークに侵入されると、重要な情報を盗聴されたり、パソコンへ不正アクセスされたりする危険があります。IDやパスワードの再設定はもちろん、管理者の権限を階層ごとに設定するなど、パソコンを安全に利用できる環境を整えましょう。

無線・有線LAN

パソコンをネットワークに接続するLANには、無線LANと有線LANがあります。
有線LANはケーブルを使用してパソコンなどの機器とモデムをつなぎ、インターネット回線に接続します。無線LANはアクセスポイントとなる無線ルータと、機器に取りつける無線LANカードを使用してインターネット回線に接続します。無線LANには通信速度によって複数の規格があるため、ルータの規格に合わせた機器を用意する必要があります。オフィスで使用するルータが機器に対応しているか、忘れずに確認しましょう。

コピー機/プリンタ/複合機

プリンタは、導入費用がリーズナブルかつ消費電力も少ない点がメリットです。複合機と比較して小型サイズの製品が多いので、小規模オフィスや卓上での使用に適しています。

複合機は複数の機能が一台に集約されているため、プリンタより大型で導入コストも高くなりがちです。ただし、コピー機やスキャナなどほかのOA機器を個別に導入するよりも場所を取らず、価格も安く済むメリットがあります。複数の機器を使用する予定があれば、複合機を導入したほうが結果的にコストを削減できるでしょう。なお、プリンタの法定耐用年数は5年と定められています。

まとめ

社内SEとして知っておいて損はない、7つのポイントをご紹介しました。システムの導入やリプレイスは、業務改善を行う絶好のタイミングです。オフィスのインフラを見直すことで、快適なビジネス環境構築を進めてみてはいかがでしょうか。

カテゴリ:お役立ち情報

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